【BL】はらだ『カラーレシピ』 異常者だらけ
なんだかんだで作家買いするようになっていたはらださん。
今作、この表紙が狂おしいほど好き。
はらださんの美的感覚が好きなんだと気がついた。キャラの服装とか髪型とかアクセサリーとか、おしゃれな人でないと描けないよなと思う。
今回も安定のネタバレ感想なのでご注意。
今作は美容師さんの話。
どうでもいいけど、美容師業界って専門用語盛りだくさんよね。一般人は普通に美容師っていうけど、『スタイリスト』だし。カウンセリングとかカルテとかなんでも横文字にすればオシャレってもんじゃねえぞと思う。
カラーレシピもそういう用語の一つ。カラーリングするときの薬剤の調合のレシピのことなんだけど…。読み終わってこのタイトルは秀逸だなーと思った。思わずガクブル。これぞはらだ節というか。
BLとしても面白かったけど、美容師っていう職業漫画としても結構読めると思う。美容師業界は過酷って聞くけど、家に帰れないとか休みがないとか。でもそういう時間拘束が長いっていう以外にも仕事の内容的にも大変な仕事なんだなーと思った。
内容的にはあらすじで、スタイリスト同士のCPにストーカーが絡んでくるというのは知っていたので、まず読み始めて誰がストーカーなのかを読みながら考える。
ぶっちゃけ、全員怪しい…。
初っ端から一番あやしいのは、メインCPである福介である。主人公の笑吉の勤める美容院に新しく勤めることになったスタイリストで、一見チャラい優男なんだけど、段々と彼の異常性が明らかになっていく。
絶対こいつなんかやらかす…と思っていると、笑吉の指名客である鬼原が登場する。結局こいつがストーカーだと判明するんだけど、そうすると。
異常者vsストーカーという夢の変態対決の実現なんだろうか…ともうこの時点でwktk。(HELLSINGで殺し合い始まった時のワクワク感みたいな)
でもちょっと期待値が高すぎたようで、思ったような展開にはならなかった。
なんというか鬼原さんひたすら空回りでくっそ雑魚キャラになってしまった。敵がもっと強ければもっと燃えたのに…。
結局、全部サイコパス福介の手の内だったわけで。しょうじきちょっと拍子抜け。もっとバイオレンスな展開を期待したんだけど、福介がただただ気持ち悪い(いい意味で)だけで終わってしまった。
続刊だからこれから一悶着あったりするんだろうか?
見た目に気をつかい、人当たりが良くて、話がうまくて、人を操ることがうまくて、人を利用することになんの罪悪感も抱かないという典型的サイコパスな福介。
学生時代の笑吉に出会い、それから彼を手に入れることを決めた福介。
かたや、不器用で真っ直ぐで純真な笑吉と、人非人な福介。正直すぎる人は人間関係の構築がうまく出来なくて、平気で嘘をつく人間は世の中うまく生きていける。この対比もなかなか酷いというか。真理ではあるんだけど。
個人的にはCPにあんまり萌えは感じなかったんだけど、ヤンデレ要素が美味しかったから総合的にはすごく面白かった。
ストーリーもあとちょっとかゆいところに届かない…!って感じだったけど、でもそれ以上に病みってる福介を見るのが面白かった。
今のところ、やじるし収録の「ひきずる音」が一番好きなんだけど、なんとなくカラーレシピのCPと被るかも。見た目ほどんど一緒だし。
はらださんはアホエロか病み系かって感じだけど私は圧倒的に病み系が好き。今度ネガ(病み)ポジ(あほえろ)で単行本だすみたいで、ネガが楽しみです(^^)
でも、前のはらださんのエントリーでもあったけど、病みもギリギリ振りきれないくらいの病みなんだよね。人間性は残ってるという。個人的にはもうちょっと突き抜けて欲しい。
でも、はらださんってヤンでる側の視点で描いてるような気がするから、このラインを超えないのが作者の理性なのかなと思った。
私、猟奇殺人とか扱うクライム・サスペンスが好きなもんで、ここまでの病みっぷりだとそこまでのものを期待してしまうんだよね。まあ、単なる私の趣味なんだけど。
掲載誌的に表現を抑えてるのかな?とも思った。
よるとあさの没ペーパーの画像見たけど、朝一ぼっこぼこにされてるし可哀想すぎて思わず笑ってしまった。血だらけだし、ピアス取れて耳ちぎれてるし、コレは没にもなるわというイラストだった。
流石にここまでやると痛々しい感じしちゃうから露出は難しいのかな。
でも、アンソロジーでも、下衆とか屑とか流行ってるし、「夜はともだち」とか「マリアボーイ」とか「スニーキーレッド」とか 暴力描写とかSM描写のあるBLが最近増えてきて、病みとかボコリ愛ってやっぱり一定の人気あるんだよなーと思う。
私は、少女漫画の延長みたいな甘い感じのBLとかレディコミっぽいJUNE系とかあんまり好きな方じゃないので、こういうマニアックなBLが増えるのはとてもうれしい。
現在のところその筆頭がはらださんだと思う。マジで天才。