のの子のつぶやき部屋

BLとかBLとかBLとか。少女漫画とか。他にも。ただの萌え語り。基本ネタバレ。

【BL】私のベストBL漫画TOP10 ストーリー部門

 唐突にランキングしてみようと思いたつ。(タグで盛大にネタバレってるけど)

 今まで自分でも考えたことなかったので。

 作品を考えた時に、ストーリーを評価するものと単純に萌えているものを一緒くたにランキングできなかったので、分けることにしました。あと完結、連載中はごっちゃです。

 今まで、300冊くらいはBL漫画読んできたと思うけれど、(BL漫画好きとしては多分少ない方かな?どうだろう?)その中から20作品選んでみた。(20作品もあるかな…と思ったけどいざ選出したら枠が足りなかった)

 私の好みなので、多分結構偏ってると思われる。

 このエントリーでは、物語の核心部分のネタバレは避けているので、これから読む人も多分大丈夫。

 

 それでは!

 まずはストーリー部門10作品から↓

 

 

 

 

 

10位『IN THESE WORDS』Guilt|Pleasure(既刊2巻以下続刊)

In These Words (ビーボーイコミックスデラックス) (ビーボーイコミックスDX)

In These Words (ビーボーイコミックスデラックス) (ビーボーイコミックスDX)

 

 アメリカ帰りの精神科医、浅野が快楽殺人事件に巻き込まれていくおそらく日本では初のサイコ・サスペンス調BL。

 舞台は日本なのに色々おかしくね?というツッコミは各所でされていたけど、そんなのいいんだよ面白ければ。

 今まで読んだことがないBLという感じで、海外ドラマみたいな感覚。

 発売当初ハマりにハマって作者の同人誌も買ったりしてたけど、同人誌の方では作者は主人公の元カレとのCPにハマってしまったらしく、本編が進まないのはこの所為なんだろうか…と邪推。

 続編早く出て欲しいぃ……(ToT)

 

 

 

 

 

 

 

 

 9位『さよなら恋人、またきて恋人』yoha(全1巻)

  ブログのエントリーにも書いた衝撃のオメガバースBL。

 オメガバース作品でありなら既存の概念にとらわれずに与えられたフィールドで好き勝手に書いたって感じの作品で、とにかく作品に勢いと力がある。

 これをランクするにあたって何位にするかちょっと悩んだ。ストーリーだけを見ると少し弱いかなという気もしたから。でもそれをカバーするだけの演出と設定の面白さがあると思う。

 物語は、オメガバースをベースに上位種であるαを常に発情させてしまうという体質のΩの少年が小さな町に引っ越してくるところから始まる。

 発情して殺気立つαに、いつ犯されるかという危険を感じるΩ。

 オメガバースは男でも妊娠できる世界なので、αとΩが番になれば子どもを作れる。そして番はΩの首筋を噛むと成立する。つまりはαがΩに強制もできるのだ。

 このやるかやられるかという緊張感が凄まじい作品。踏みにじられる尊厳と守りたい純情。欲と理性の狭間で揺れる少年たちを描く。

 既存のオメガバースでは、発想できない設定というか展開がたくさんあって、ある意味禁忌とも言えるのではないかと思う。ここではネタバレになるから言わないけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

8位『アンダーグラウンドホテル』定広美香(電子版全上下巻)

アンダーグラウンドホテル : 上 (BL宣言)

アンダーグラウンドホテル : 上 (BL宣言)

 

  監獄BLって一定の人気がある気がするんですけどどうなんだろうか。

 私、「OZ」という海外ドラマに一時期大ハマリしていて。HBO制作のアメリカの監獄を舞台にしたドラマなんだけど。お決まりの人種による監獄内のヒエラルキーとか、監獄内での抗争とかあって、メインはそのごっちゃごちゃの人間関係の群像劇。その中でなんと、ゲイカップルが誕生してしまう。ゲイの快楽殺人者×交通死亡事故起こした冴えないおっさん(のちに覚醒)というCPなんだけど、もうこの二人の関係が面白すぎてドラマの展開もこっちに引っ張られる始末で。関係の始まりから帰結までものすごく面白かった。

 そのドラマはかなりリアルにアメリカの監獄を描写したという話。この漫画をドラマと比較してみると監獄は結構リアルに描写してると思う。

 ストーリーはまあリアルではないんだけど。

 主人公は人妻に手を出して、それが旦那にバレて殺されそうになった所、誤って旦那を殺してしまったという不運な青年、尾張潜(セン)禁錮80年の刑で服役することになる。服役して早々レイプされたセンは身を守るために監獄内での実力者である元麻薬のディーラー、ソードと関係を結ぶ。ソードとセン。所有物とその持ち主という関係が段々と変わっていく。

 禁錮80年と禁錮200年という刑を処され、底辺にまで落ちた男二人の愛憎の話。暴力的に愛しあう二人が痛いし激しいし。二人が周りを巻き込んですったもんだしてるだけといえばそうなんだけど、読み終わった時は爽快な気分になれる。

 男のプライドや、弱さ。監獄の中という極限の精神状態においての苦悩や愛というものを書こうとしている作品。

 これ書籍はもう絶版なんですかね。電子版は各所で配信されています。私はRenta!で読みました。

 

 

 

 

 

 

 

 

7位『大人の問題』今市子(全1巻)

大人の問題 (花音コミックス)

大人の問題 (花音コミックス)

 

  刊行年数の97年で目を剥いた…笑

 連載は95年だから軽く20年は経ってるということに。もちろんリアルタイムで読んだわけではないんだけど、購入したのは10年以上前なのでちょっと気が遠くなった。

 BLでストーリーといえばこの方、今市子である。

 この作品をBLとしてカテゴリしていいものか迷うけど、一応BL。とは言え物語の中心は「家族」のドタバタで、ラブな部分は殆どない。でもすごく面白い。

 今さんのBLでの中では一番笑える話。

 主人公直人が5歳の時に両親は円満離婚する。理由は「パパがゲイだから」。20になった直人に父が紹介したい人がいると言って引き会わされたのが、海老悟郎(えびごろう。美青年、26歳)という始まりで、それから直人の母や父の元カレや悟郎の兄も巻き込んでどんどんカオスな展開になっていく。

 こうやって書くと直人と悟郎の間で何か起こるような予感がするけど、そんなことはない。今さんはよくカップルを傍観する主人公(のちにゴタゴタに巻き込まれる)というパターンを描くけどこれもそういう話。

 正しく今さんの定型みたいな話なんだけど、キャラがみんな魅力的。今市子漫画に絶対に登場する、見かけはパーフェクトなのに中身は不器用で朴念仁という残念イケメン。今作では悟郎の兄の一(はじめ)がそれに当たるんだけど、私この人が好きで。

 こういうアホな人から始まる勘違いから今さんの漫画は展開していく。

 今さん作品では「5つの箱の物語」と迷ったけど、単純な面白さで「大人の問題」の方を選んだ。でもどっちも傑作。

五つの箱の物語 (ソノラマコミック文庫 い 65-3)

五つの箱の物語 (ソノラマコミック文庫 い 65-3)

 

 

 

 

 

 

 

 

6位『坂の上の魔法使い』明治カナ子(全3巻)

坂の上の魔法使い (ミリオンコミックス 84 Hertz Series 72)

坂の上の魔法使い (ミリオンコミックス 84 Hertz Series 72)

 

  BLファンタジーの傑作。まだまだ数は少ないファンタジーBL漫画だけど、その中でここまで世界観作りこまれたファンタジーは今のところこの作品しかないんじゃないだろうか。

 正直絵はそんなにうまくないというか、下手なんだけど、でも独特の絵柄がファンタジーの世界観を邪魔してなくてむしろ適度にマッチしていると思う。

 主人公は丘の上に住む魔法使いのリーの元に身を寄せる少年ラベル。物語はこの少年ラベルの視点と魔法使いのリーの回想を行ったり来たりして進行していく。

 物語の主役はリーで、主人公がラベルという感じ。ストーリーの核はリーの過去にある。無骨で無愛想なリーと可愛いラベルの日常からだんだんと物語は過去に遡っていき、やがてリーの壮絶な過去に行き着く。

 この「魔法使い」という存在の設定が壮大でかつ、グロテスク。グロテスクって魔法使いには似つかわしくないと思うだろうけど、読めばわかる、グロい。

 この作品に関してはBLと思わず純粋にファンタジーと思ったほうが楽しめるのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

5位『新宿ラッキーホール』雲田はるこ(全1巻)

新宿ラッキーホール (Feelコミックス オンブルー)

新宿ラッキーホール (Feelコミックス オンブルー)

 

  ゲイポルノの男優、苦味(くみ)と彼を売った張本人ヤクザのサクマ。彼らの現在と過去の話。

 萌え萌え路線からの唐突なシリアス展開が雲田さんあるある。この作品ではくみとサクマの過去編が本編みたいなものだと思う。

 おじさんになった現在では腐れ縁みたいな関係になっていたけれど、実は過去からの繋がりはずっと深く続いている。愛憎というよりはちょっと愛多めの過去編。

 非道に見えるサクマ。現在のくみに対しても愛があるのか無いのかという感じだけど実は…。

 この漫画の肝はこのサクマという存在だと思う。一見しなびたおっさんだけど妙に色気のあるこの人。くみがどうしてサクマを好きになって、サクマはどうしてくみを自分の元に置いておくのか。

 その関係の始まりと辿り着いた先とは…。

 ストーリーとは関係ないけど、くもはる先生って絵は柔らかいタッチなのに細部はやけにリアルでエロシーンとか普通にエロい。この妙なリアルさがとても好き。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4位『いとしの猫っ毛ー小樽編ー』雲田はるこ既刊5巻以下続刊)

いとしの猫っ毛 小樽篇 (シトロンコミックス) (CITRON COMICS)

いとしの猫っ毛 小樽篇 (シトロンコミックス) (CITRON COMICS)

 

  なんと、雲田はるこ作品が続いてしまった。これは自分でも思いもよらず。雲田はるこがものすごく好きというよりは上記2作品が特別好きということなんだけど。

 猫っ毛小樽編。猫っ毛のシリーズでランクインじゃなくて小樽編だけ。本編の猫っ毛にストーリーというようなストーリーはない。この小樽編だけは別物。猫っ毛本編は読まなくても、この小樽編だけは読め!って思うレベル。これだけ読んでも物語としては完結してるし、だからナンバリングもないのかな?

 時系列的に小樽編を先に読んで、その後アフターストーリーみたいな感じで本編行くのもいいと思う。

 さっきも萌え萌えの中に唐突なシリアスと書いたけど、これもそう。本編はみいくんと恵ちゃんの主人公二人がイチャイチャする日常を描いた、ものっすごいほのぼのラブラブな話なんだけど、あのバカップルにこんな過去があったとは…と驚愕するくらい暗い過去編。本編はほぼ一話完結だけど、小樽編は一冊全編続いている話。おもにみいくん視点(黒髪の方)の辛い高校時代が描かれる。

 猫っ毛本編ももちろん好きなんだけど、小樽編読んで更に好きになったと思う。

 人を好きになる苦しさ、一途に思い続けることの難しさ、家族の大切さ、後悔と悲哀。そういうものを感じる話。暗ーーーいみいくんと対極な脳天気な恵ちゃんの存在に読者もみいくんも救われる話でもある。

 

 

 

 

 

 

 

 

3位『願い叶えたまえ』西田東(全3巻)

願い叶えたまえ 1巻

願い叶えたまえ 1巻

 

  読み終わってからしばらく呆然としてしまったこの作品。

 物語の最後を読者の解釈に任せる作品って名作が多いような気がする。これもそういう作品だった。

 主人公は絹川祐介はバーの雇われピアニスト。祐介はいつも店に来て「何か」を見つめている男の事が気にかかる。気になって声をかけるもそのことが原因で彼の下っ端に襲われて手を怪我してしまう。彼、深見はヤクザだったのだ。しかしその後も深見は不意に祐介の前に姿を現す。祐介は次第に深見に惹かれていく。けれど深見はヤクザの世界に深く捕らわれていた。

 暴力とは無縁の世界で生きてきた祐介と、暴力の世界しか知らない深見、そんな二人が出会ってお互いを好きになったとして、真に愛し合うことができるのか。愛を受け入れられない深見はどんどんと破滅へ向かっていってしまう。それを食い止めたい祐介。そんな二人の行き着いた先には…。

 全編に渡り、シリアスしかない物語。読んでいて息苦しくなるくらいに辛い。お互いを好きというだけではどうにもならない周囲の環境。深見の生い立ち、置かれた立場やプライドが愛を受け入れさせない。愛したいのに真正面からは愛せないという葛藤が辛い。

 ストーリーは最初から最後まで面白いし、終わり方も秀逸。ただ、絵は好き嫌いはある絵柄だと思う。でも、絵とか関係ないくらい感動する作品。

 

 

 

 

 

 

 

 

2位『スメルズ ライク グリーンスピリット』永井三郎(全2巻)

 

  とにかく多くの人に読んでもらいたいと思う作品。セクシャルマイノリティの葛藤をコミカルにでも真面目に書いた作品。最初はギャグかな?と思って読み始めるけど、読み終わる頃には全く違う印象に変わる。

 物語の舞台は寂れた田舎町。そこで暮らす中学生が主人公。

 三島は女装や年上の男性に憧れる同性愛者。髪を長く伸ばしている三島は田舎の学校では浮いていて、ホモっぽいと言われイジメを受けている。三島をいじめる夢野と、彼と共に行動する桐野。見た目もイケメンでサッカー部で女子にも持てる桐野。桐野はなにか言いたげに三島を見ている。

 イジメからもさり気なく庇ってくれた桐野。実は彼には秘密があった。それを知った三島と桐野の友情の物語。

 ギャグとシリアスの振れ幅の大きいこの作品。一見、全然リアリティのない内容に見えて結構真剣にリアルな心情を書こうとしていると思う。

 物語の最後のほうで、大人になった主人公の三島の独白がある。

 

 東京に来て 色んな人に出会った

 俺と同じように昔 母親の口紅を こっそりつけてたという人

 ゲイであることを とても誇りに思っている人

 「男とか女とか関係ない」と笑い飛ばす人

 

 「未来に希望を持てない」という人

 女装仲間だった彼は 3ヶ月前に自殺した

 

 この作品はこのセリフのようなリアリティで描かれている。自分の生まれや性癖に悩んで苦しんでいる人たちがいる世界。

 登場人物がみんな当たり前に男を好きになるみたいなBL世界の話ではなく、限りなく現実に近い世界線にある。

 キャラクターには家族がいて、親がいる。その親にも人生がある。そういう世界。

 ひとつ前のエントリーで、自分のために生きるのか親のために生きるのかわからなくなるというようなことを書いたけど、これは正にそういうことを考えさせられる漫画。

 何度読んでも、読み終わるときには涙がでる。

 本質は真面目なテーマなんだけど、ちゃんと恋愛もあって、萌えるし、ストーリーも山あり谷あり。

 生きる道の選択とは個人の幸せとは、家族や親との関係とかいろいろ考えてしまう作品。やっぱりいい作品っていうのは読んだ後も考えさせられる種のものを指すんだと思う。

 

 

 

 

 

 そして、堂々の第一位は…

 

 

 

 

 

 

1位『囀る鳥は羽ばたかない』ヨネダコウ(既刊3巻以下続刊)

 

囀る鳥は羽ばたかない 1 (H&C Comics  ihr HertZシリーズ 129)

囀る鳥は羽ばたかない 1 (H&C Comics ihr HertZシリーズ 129)

 

 

 この作品に関してはもはや現時点でこのブログでいうことはないです。書きたいことすでに書き放題書いてるので。

 読んでない人は早く読んで!

 それだけ。

 でも、一つだけ心配なのはまだ続いている話なので物語の終わりにカタルシスを感じられるかどうかということ。

 でも、多分ヨネダさんかなりプロット練るタイプの人だと思うし、尻切れトンボってことにはならないとは思うけど。

 連載はあえて追っていないので、本当に続刊が楽しみ(^^)

(追記)

 Twitterによると5巻以上確定らしい。今の山を超えたら終わりかと思ってた。矢代は頂点まで行ってしまうんだろうか…。

 ヤクザモノだとゴタゴタしたあと組抜けて一般人になって幸せに暮らして終わりってパターン多いけど、矢代はそうはならなそうだよなー。

 

 

 

 

 ということで、以上!

 ストーリー部門10作品でした。

 単純にストーリーだけでランキングしたから、ジャンルもテイストも程よくばらけて中々のラインナップになった気がする。

 でもこうして並べると、内容暗い話が多いなー…笑

 

  次は萌え部門で10作品選びます。こっちはお気楽。