のの子のつぶやき部屋

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【雑記】日本のLGBT



 たまたまyoutubeのおすすめでトップにあった動画。気になって見てみた。

 

 日本のゲイカルチャー(新宿二丁目、女装バー、BL、乙女ロード、ゲイカップルの弁護士、カミングアウトする男性など)を追ったドキュメンタリー動画。

 字幕は無いので、英語の部分はなんとなくしかわからなかったけど、インタビューを受ける人は日本人なので日本語で受け答えしてくれる。

 

 この動画から見えてくる日本のゲイ文化は限りなくリアルなんじゃないだろうかと思う。私は同性愛者ではないので、本当にリアルなのかは想像するしかないけれど、でも日本のメディアでは絶対にこのようにありのままには取り上げてくれないと思う。

 

 LGBTとはいえ、日本での女装(コスプレ)やBLというのは本質的にはゲイカルチャーではないと思う。なのでこういう動画で紹介されるのは少し違和感があった。

 でもこれも日本独特の文化なのかな?と思う。だからわざわざ取り上げられた。

 

 女装を趣味の範囲で楽しむ人が増えたというのは興味深いと思う。動画内でここ5年ほどで女装文化が爆発的に広がったと言っているけど。たしかにそういう印象はある。コミケの画像とか、Twitterでよく見かけるようになったよなーって。起点はネットだと思う。クラスタという言葉があるけど、自分と同じような人たちがいるんだと気づくことができて、おなじ嗜好を持つ人と交流を持つ場を得たことが、この女装文化の広がりを生んだのかな。

 それになぜか女装に関しては日本人はなぜか結構寛容だ。

 所詮趣味の範囲だと思っているんだろう。これはコスプレというのが第一前提としてあるからなのかな。

 まあ、趣味にしても女装をしたいと思った人がその願望を実現できる場があるということはいいことなのかなと思う。

 

 そして、女装につづいてBLについても結構生々しく取り上げていて、ここの部分は気が気でなかった…笑

 出演してくれた人も典型的な腐女子。the腐女子。オープンな腐女子の見本ですって感じで見ているとものすごく恥ずかしい。この恥ずかしいっていうのは身近に感じて恥ずかしいということね。

 同人誌やBLCDという結構ディープな腐女子文化に突っ込んでいってて、カラオケ店でBLCDを聞くという荒行も行われた。

 私はBLCDはぜっっっっっっっっったいに聞けないタイプの腐なので、この場面は見るだけできつかった。

 ゲイポルノも実写映画(海外に限る)も平気なのに、BLCDやBLアニメやBL原作の実写は耐えられない。本当に。

 こういうコンテンツを否定するわけじゃなくて、単純に恥ずかしくて見られない。

 なんでこんなに恥ずかしいんだろうって思うんだけど、どうしても恥ずかしくていてもたってもいられない。

 思うに、BLほど現実と乖離した世界って他に無いと思うんだよね。1ミリも現実感がない。よく出来たBL作品も作中のリアリティはあっても、それは絶対にリアルではありえない。リアルじゃないとわかっているからこそ平常心でいられるのに、そこにちょっとでもリアルな要素(演じる俳優さんとか、作る側の人たち)が加わると途端に現実に帰ってしまうというか。

 BLCDとか聞いてても、声優さんがブースで収録してる姿しか浮かばなくていたたまれなくなってくるしだな…。まあ、性に合ってないんですね。

 逆にゲイの人が作ったり、消費したりするコンテンツは全然平気なんだけどね。これは当事者じゃないから。

 gleeのカートとブレインのカップルが大好きで、この二人の初キスのシーンとか何回見たかわからないくらい見てるんだけど、これが日本人だったとしたら…やっぱり恥ずかしいって思うんだと思う。

 自分もある程度自覚があるけど、腐女子っていうのは本当に無責任な消費者なのだ。同性愛を餌にしながらLGBTの問題は、当人たちは大変だろうと理解や同情はしても自分たちとはほとんど関係ないと思っている人がほとんどじゃないだろうか。もちろん真摯にその問題に取り組んでいる人もいるかもしれない。でも多くの人達は、自分たちの妄想の中で完結していて、現実の問題に関しては足を踏み入れない。

 もちろん良かれと思ってそうしているという部分もある。自分たちが好きなBLと現実を混同してはいけない、と思ってわざと遠ざけている人もいるだろうと思う。

 実はゲイカルチャーと腐女子は近いようでもっとも対極にあるカテゴリで、しかも交わることは絶対にない。(ゲイでBL好きという人もいないこともないだろうけど)

 動画内で、罰ゲームのごとく腐女子文化を見せつけられたわけだけど、紹介の最後にはこういう文化を当の日本のゲイの人達は否定気味に見ているという説明もされていたので、安心した。

 当たり前のことなんだけど、これは異性愛者の女性の中の文化であって、ゲイカルチャーではない。ここを一緒に扱われると双方に被害を生じることになるので注意したい。

 

 

 この動画内で何度か言われる「日本の恥の文化」だけれども、そもそも腐女子という言葉自体もそう言えるのかなと思う。

 いつから腐女子という言葉が出てきたかはわからないけれど、そもそも腐女子というのは自称するもので他人から腐女子と言われるものではない、と私は思っている。

 腐っててすみませんっていう、謙遜みたいなものだ。これに女子という言葉がくっつくと、女なのに男同士の恋愛が好きで腐ってて本当にすみません、みたいな感じになる。他の人はどうか知らないけど、少なくとも私はそういう意味だと思ってる。

 本当は腐女子なんてゴミみたいに思われて当然なのだ。大勢の人の前で当たり前のようにBL好きなんですとか口が裂けても言えない。

 と、ちょっと前までは思っていた。

 でも、最近はあまりにも腐女子が増えてきたもんで、腐女子というものが浸透してきて、受けれてくれそうな人には言ってもいいかな?くらいには思えてきた。

 でも、それでも積極的におおっぴらにしていうことではないと思う。

 なんでかっていうとやっぱり「恥」だから。BLが好きっていうのは「恥ずべきこと」なのだと思ってしまう。

 こういうのはもう古臭いんだろうか。

 

 

 動画内でわざわざBLを取り上げてくれたけど、でもゲイカルチャーを紹介するという意味でそれが良かったのかどうかはわからない。

 少なくとも、BLがどんなに浸透してもそれが日本のLGBTへの関心の高まりや理解には繋がらないだろうと思うから。

 

 そういうのもわかっていての動画のつくりなのかな、とも思ったけど。

 動画は2丁目の紹介から、女装バー、BL、同人誌というわかりやすく目に見える文化から、実際のゲイの人へのインタビューなど本当の現実へ掘り下げされていく。

 動画の最初の方は派手でそれぞれ生き方を楽しんでいる人が登場する。でもだんだんとそれは表面的なことで深層はもっと複雑なのだと説明してくれる。

 

 日本におけるLGBTの存在は現在のところ公的には黙殺されている。確実にいるのに、見ようとしない。ないものにしているということだ。

 最近になって、だんだんと表面化してきてはいるものの話題にはならない。海外では有名人のカミングアウトはよく聞くけれど、日本では芸能人が公の場でカミングアウトすることは無い。でも、なぜかオネエというカテゴリだけは認められていて、メディアには多く出る。けれど多くの場合オネエ的な存在の人たちはいじられ役で、面白い存在という扱いで、それがいいことなのかどうか疑問が残る。

 多くの人に認知される人気商売でのカミングアウトは日本では出来ないことなのだ。不倫をするとCMから外されるというのと同じで、イメージダウンにしかならないということなのだろう。

 

 動画の最後で、友人をレンタルするという会社が紹介された。日本でそんな事業があることも驚いた。多くの場合は結婚式の友人役とかそういうのらしいけど、動画内では母親にカミングアウトする男性の友人役ということで登場していた。

 身近な人では頼めないのだろう。しかもビジネスで友人をやってくれるなら色々対応してくれそうで非常に頼もしいと思った。

 このカミングアウトが一番心に刺さった。

 息子の告白を聞いた母親の表情があまりにリアルというか。人間は、本当に思いもしないことを聞いた時ってこういう顔するんだな、って。

 告白を聞いた母親は、あまりのことに動転してその場から出て行ってしまう。それを友人役の人が事情を説明すると言って追いかけていって、しばらくして帰ってくる。

 帰ってきた時には、息子の男性に「あなたが一番つらいんだもんね」といって「理解してあげたい」と声をかける。

 でも、これで終わりじゃないんだよな…。この親子の関係はある意味ここから始めるわけで。お母さんも苦しむだろうし、息子さんも罪悪感は消えないと思う。

 それでも自分を偽れない。

 こういう苦しみを、当事者でない人達は理解していかないといけないと思う。

 

 日本でのLGBTの理解が進まないのって、やっぱり家族という制度だと思うんだよね。友人レンタルの会社の人が「日本では親の顔を立てる」ということがあるって言っていたけど、自分でもこの歳になると結婚や子どもを考えるようになって、親に孫の顔を見せてあげたいとも思うし、親も結婚だ孫だって言ってくるんだけど、たまに自分で自分自身のために生きてるのか、親を喜ばせたり、安心させるために生きてるのかわからなくなる時がある。

 誰しもそういうことを思ったことはあるんじゃないだろうか。

 

 子供の頃、海外ドラマかなんかか忘れたけど、なんかのセリフで飼猫のことを「ママの猫」って言っていて不思議に思ったことがある。海外ではペットは個人で飼うのが普通らしい(全部が全部じゃないかもしれないけど)日本ではペットは家族で飼うものだ。

 こういうのが価値観の差なんだろうなと思う。

 海外(ここでは欧米ということだけど)では個が尊重される文化というのが歴史的な背景にある。

 アン・ハサウェイのお兄さんが家族にカミングアウトした時に、同性愛を禁じるカトリックから改宗したというエピソードがある。兄を否定せずに家族全体で受け入れた結果だ。

 日本は基本的に、家族単位で考えがちだ。個人よりも家族優先という思考が染み付いてる。日本は家族に迎合することを半ば強いられているので、なかなか心情的にはうまくいかないんじゃないだろうか。

 個は家という単位に吸収されてしまう。

 だからカミングアウトしても、自分は言いたいこといってスッキリするかもしれないけど、そこから家族の苦しみが始まると思うと、和を乱すくらいなら言わないほうがいいと思う人もいるだろう。というか殆どがそうなんだと思う。

 国民性なのか教育なのか。

 個人のものなんて一つもなくて、連帯や共有に縛られている。

 やれ空気を読めだの、建前だのって、たまにアホらしいと思うよね。

 一番恐ろしいと思ったのは友だちから聞いたママカーストってやつだったけど。こういう陰湿な体質では個人の自由なんて考えられるわけないわ。

 そもそもがLGBT以前の問題なんじゃないだろうかと思う。

 

 と、まあいろいろ考えさせられる動画だった。日本のテレビ番組では絶対につくれない内容。

 動画の案内役の女性だけど、綺麗な人だなーと思って検索したらハリウッドの女優さんだった。

 エレン・ペイジという女優さんで、インセプションとかにでてる人。言われてみれば見たことあるわ。

laughy.jp

 彼女も同性愛者で2014年にカミングアウトしてからはLGBTの啓発活動をしているよう。

 海外だとLGBTに対して日本よりはオープンなイメージあるけど、でも宗教関係なんかである意味日本より強固な壁がありそうだなーと思う。

 

 youtubeなんか見ていると、結構日本におけるゲイってどうなの?っていう話題の動画は再生数が伸びている印象。これは日本で外国人差別はあるの?というのと同じくらい関心が高いんじゃないだろうか。

 海外では人種問題や差別問題と同じくらいの関心度でもって同性愛差別にも取り組んでいるということなんだろうと思う。

 

 そんなわけで、長々書いてしまいましたが、動画すごくおもしろいので是非見てみてください。同人誌とか腐女子の場面は本当に悶絶すると思いますよ笑