のの子のつぶやき部屋

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【BL】はらだ 『よるとあさの歌』他 なんだかよくわからない引力

 

よるとあさの歌 (バンブーコミックス Qpaコレクション)

よるとあさの歌 (バンブーコミックス Qpaコレクション)

 

 

 ようやく(?)はらださんのエントリー書きます。

 

 BL漫画界にある日突然現れ、あれよあれよというまに売れっ子に。まだデビューして2年?くらい?全くそんな感じしないくらい世界観出来上がってて驚愕します。

 元々同人では有名だったんですかね??その辺は全く詳しくないので。

 

 私が、はらださんを一番最初に知ったのは、「教室の歪み」のサンプルページだったと思う。PINK GOLDの電子版の。結局買わなかったんだけど、はらださんの絵は目を引いて覚えていた。なんでかというと、エロに特化した雑誌に載る漫画にしては絵が素朴過ぎたから。そのときは、これでエロいとか想像つかないなー、と思っていた。

 で、その後変愛が電子版で配信されることになって、なんかすごい宣伝文句で押せ押せな感じで、その時の配信ランキングでも1位になってたんで何気なく買ってみたんだけど。

 

 なんじゃ…このどエロスは…!?と衝撃を受ける。

 そして、あの教室の歪みの人だと気がついてびっくりして、この絵で違和感なくエロ(しかもとんでもなくエロい)を描けるんだ…と妙に感心する。

 これ読んでやっぱりBLも新時代に来てるんだなーと思った。

 なんだかすごく鮮烈なものを感じたのだった。

  もちろん今までもエロ描写が上手いBL漫画ってあったとは思うんだけど、最近のレベルからいうとちょっと次元が違うというか見る角度が違うというか…。

 とにかくこれはすごいと思った。

 

 

 ひと昔前のBLのエロ描写ってTL系というか、男女のセックスをそのまま男同士でやりました、みたいな、こう…夢のある?エッチだったというか。だいたいがやおい穴だし、こうふわっとしてたと思うんだけど、最近のBLのこういう描写ってやたらリアルになった気がする。夢が無くなって変態チックになったというか。

 リアルな描写とか男同士のセックスが変態的ってことではなくて、そういうリアルな男の絡みをよろこんでみる女という構図が変態チックだよね、ということ。

 腐女子ってこういうド変態がいっぱいいるんだよなーと今更ながら再認識する今日この頃。

 

 はらださんもまあ、なんだ、ド変態だよね。(めっちゃ褒め言葉

 だから同じ波長の人を呼び込んでしまうんだと思う。

 はらださんの作品ってあんまり一般受けしないというか、王道なBLを好きな人には受けないのかなー?と思うんだけど、そうじゃない人にはそれ以上に過剰に大受けしているという印象。

 エロいはエロいんだけど、それだけならすぐ飽きると思う。

 でもエロいだけじゃない要素があるからこんだけ人気になったんだよなー。

 

 一番はやっぱりキャラクターだと思う。

 ストーリーよりはキャラが話を引っ張っていく感じの漫画だと思う。

 その、キャラが濃い。とにかく濃い。

 どうやったらこういうキャラ造形できるんだろうと思う。

 私ははらださんの漫画はギャグ方面はあんまり好きじゃなくて、より作家性を感じるのはシリアスな方。

 そこにあるのはBLとかそういうのを超えた、嗜虐と被虐の関係性だ。

 

 はらださんは、鬼畜とかドSとか下衆とか言葉はなんでもいいけど、嗜虐性を持つキャラを描くのがべらぼうに上手い。もうこれは才能だと思う。屑と下衆とヤンデレを描かせたら天下一品。

 今までももちろん様々な鬼畜攻めがBLでは描かれてきたと思うけど、そういう普通の鬼畜攻めとは一線を画する何かがある。

 その何かがはらださんの漫画の引力の源泉なのだと思うんだけど。

 これが、よくわからないんだなー。

 なんだかよくわからないけど、強烈に惹かれる。

 

 考えてみるとやっぱり、攻めの存在感かなーと思う。

 既存の鬼畜系って痛めつけられる受けにばっかり描写が集中して、攻めのほうは単に受けをいじめる要員になってしまってるだけのような気がする。読んでいてそれほど攻めの方に気が向かない。

 それを、はらださんの漫画ではどっちかというと、攻め目線で描いてる。被虐よりは嗜虐の方により焦点を当てている。

 これが、今まで感じたことがないと思った原因かも知れない。

 MよりはSの心の琴線に触れるというか…。しかし、SはMの心も兼ねるというし。(逆もしかり)

 つまりは、私が好きなのは受けだの攻めだのセックスだのBLだのというよりははらださんの描く精神的SMの世界なんだと思う。責める者と責められる者の関係性というのかな。

 BLという世界の中では責める攻めというのは、責められる受けの添え物みたいなもんで引き立て役に過ぎないという面があると思う。特にエロ系では。

 でも、はらださんの作品ではその関係性がイーブンで、ちょうど釣り合いが取れているように思う(漫画の見せ場的に)

 

 よるとあさの歌でも、朝一とヨルがエッチしてる場面もかわいいんだけど、この漫画で一番興奮するところって朝一がいおりにぼっこぼこにされて下っ端に犯される場面だと思うんだけど。(………少数派かな^^;)

 いきがってて、調子づいてて、クズ男な朝一が、やくざにボロカスにされて、脅されて、ガタガタ震えながら犯されてそれをビデオに撮られて。

 こういう場面本当に上手いと思う。興奮する。ない物も勃つってもんですよ。

 朝一に弁償させる金額を、天気の話でもするように淡々とするいおり。痛めつけることもなんとも思っていないようで、部下と会話しつつ、犯される朝一をビデオで撮影する。

 ここでの、怯える朝一と、日常の一コマですよみたいないおり。その対比。弱者と強者という関係性。

 この場面、あーあー朝一可哀想ーとは思いつつ、ガタガタ震えちゃって可愛いなーと思うし、なにより、いおりとその部下くんの淡々として容赦無い責めっぷりがとてもいい。興奮する。

 

 こういう場面を、読んでる方がうわー痛そう萎える…ってならずに、うっはーもっとやれってなるようにかけるって結構すごいと思う。(もちろんどんな風に描いてもダメな人はダメだと思うけど)

 痛々しさとは紙一重なんだけど、それを娯楽?として楽しく読ませられるか。現実に立ち返らずに世界観を作れるか。

 こういうのはなんでも勢いが大事だと思う。普通に考えれば犯罪行為なんだし、現実世界でこんなことあったら普通にドン引きする。

 でもこれは現実の話じゃないので、という虚構感。フィクションで、娯楽として嗜虐や被虐を描いてるんだという感じが凄くある。

 漫画読んでると、この人本当にこういうの好きなんだろうな―ってわかる瞬間あるけど、はらださんもそう。好きという熱量がある。だからいい意味で変態だなーって思うんだよね。

 現実世界を注意深く見る目がある人が描く、虚構の世界だなーと思う。キャラクターは細部はリアルなんだけど、全体で見ると現実的ではないというリアリティ。

 そういうキャラクターが動く漫画の世界だから安心して下衆野郎にもクズ野郎にも萌えられるし、どんなことされててももっとやれって思える。可哀想だなーってキャラでも可哀想であることに興奮する。

 本当にこの感覚不思議だなーと思う。

 SAWなんかのスプラッタ映画を喜々として見る感覚に似てるかも。

 

 あとキャラでいうと、はらださんって女の子描くのもめちゃくちゃ上手いと思う。BL漫画で女子をうまく可愛くかける人って漫画描くのうまいんだなーと思う。もちろん絵柄だけじゃなく、キャラとしてちゃんと魅力的なという意味で。

 女子もちゃんとかけるってことは、作品世界にフラットな目線を持ってるって証拠だと思う。

 うまくいえないけど、自然に女子のキャラが出てくるってことはBLという世界において作者の目線が均等に割り振られているってことだと思う。不均等なBL世界では女はいらないもんだし。

 このバランス感覚が絶妙なんだよなー。すごく自然なんだけど、キャラが変。ちょっと頭おかしい奴がものずごい自然な感じに溶け込んでる。頭おかしいのに普通の中に紛れてるという感覚が奇妙で、隠微な感じがして、また興奮する。

 

 ちなみに私が好きなはらださんの作品は、「教室の歪み」シリーズと「やじるし」と「ひきずる音」です。うーん好みがわかりやすい。

 長編はそこまでガツーンと来るものがないので、今後に期待したい。

 でも、はらださんって短編の方が合ってる人だと思う。キャラで引っ張っていくには長編はちょっと物足りないかなーと。

 でも、今後も追っかけてこうと思います。

 

 なんか、単に私が変態だということをアピールしただけの内容になってしまった気がするなぁ…。

 一応書いておくけど、嗜好と性癖というのはイコールではありませんので。あしからず。

やじるし (シトロンコミックス)