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のの子のつぶやき部屋

BLとかBLとかBLとか。少女漫画とか。他にも。ただの萌え語り。基本ネタバレ。

【BL】原作・犬時、作画・笑平『りんご、木から落ちる』 ktkr(゚∀゚)

 

りんご、木から落ちる (シトロンコミックス)

りんご、木から落ちる (シトロンコミックス)

 

 

 なにこれきたこれ。

 いやー…ヤバイ。ちょっと昨日から興奮しすぎてヤバイ。

 私この漫画好き。すごく好き。

 

 電子版の1話お試し無料で表題作30ページくらい読んで、続き気になりすぎて単行本買ってしまった。

 でも電子版で買ってちょっと後悔。これ紙で読みたいやつ。たぶん書籍で買い直すと思う。

renta.papy.co.jp

 ↑こっから読めるので気になったらネタバレの前に試しに読んでみて下さい。

 ここでは表題作の『りんご、木から落ちる』の冒頭30ページが読めます。この30ページでいけるかいけないかわかると思うので。

 何がいけるって、絵。

 結構癖の強い絵柄で。なんというか80年代風というか。

 ダメな人は絵が古臭く感じてダメなよう。

 私はこういう絵柄が大好きだなんだけど。

 私はリアルだと90年代世代なので、70年代80年代の漫画は大人になってからちゃんと読むようになった。だから90年代のものの方は古く感じて読めないってあるけど、それ以前は逆に普通に読めたりする。

 最近、二次絵でもリバイバル的な古風な絵柄をよく見かける。完全に古いわけではなくて、どことなく現代風な70年代、80年代絵。こういうのなんかいいんだよなー。線が柔らかくて。

 作画の笑平さんの絵柄も、リバイバル系。80年代風ではあるけど、ちゃんと現代のスタイリッシュ感もある絵柄だと思う。

 でも、絵が好きってだけでは漫画は面白く読めない。その点、今作とてもよかった。面白かったいうよりフィーリングがあったという感じに近い。絵柄も好きだし、漫画の描き方も好きだし、キャラも好きだ。ストーリーはありがちといえばありがちだけど、そんなありがちな話も漫画表現の仕方でいくらでも面白くなる。

 なによりもCPの好みが合ってるってことがBLでは、とてもとても重要なことなのだ。これが逆になるだけで萌えは半減ところかマイナスにもなり得る。

 

 今作、短篇集で4作収録。短編なのでどれもわかりやすく、とくに深読みするようなこともないので以下ただの萌え語り。

 と思って書いてたんだけど、なんか色々取り留めもないことを書いてしまって萌えだけ語ってろやーって人にはすこし冗長かもしれない…。

 

 

・「りんご、木から落ちる」

 表題作で単行本描きおろしの話。雑誌未収録の描きおろしで新作って珍しい気がする。しかも表題作。それだけ描いた方も、出版社も良い物ができたと思ったんだろう。

 この話が本当によかった。

 面白い、面白くないというよりも、この話を読めてよかったって思った。

 リブレさん、原作の犬時さん、作画の笑平さんありがとうございます。私この作品に出会えてよかったです。

 なにがそんなに好きなのか自分でもよくわからないんだけど、とにかくいいと思った。無条件でもう好き。

 最初試し読みの30ページを読んだときは、流し読みだったんで雰囲気いいな―ってくらい、すごく気になるところで終わってたから、ぐぬぬそんな餌に釣られない…とちょっと抵抗したけどやっぱり購入してしまった。

 これなんと描きおろし68ページの作品。気合入ってるね。

 連載だと2話分くらいかな。でも描きおろしだからはじめから分けて読むように描かれてない。つまり冒頭30ページだけ読んだってなにもわからないのだ。本当にただのお試しチラ見せ。腐女子にはいい餌だよ\(^o^)/

 

 主人公は学校の王子様キャラでみんなのアイドルの黒川楓。何故か制服で赤いジャケットを着用している。受け。もう一人の主人公は園芸部の長身地味眼鏡の隠れ方言ボーイの高見清春。攻め。

 冒頭、きぐるみを着て熱中症になりかけて倒れている楓を清春が介抱する場面から始まる。

 この冒頭から、正直よくわからない。

 作中楓が何故きぐるみを着ているのかという説明は終わりまで一切ない。読んでいくと多分なのだけど、学園祭の出し物の練習をしていたのかなということをなんとなく察する。

 なんか、あんまり説明がないんだなこの話。清春がたまに方言を話すのとか、楓の赤い制服とか(特進の制服なのかな?赤のジャネットにグレーのパンツってルパン…。あと、表紙見て気がついたけど、赤いジャケット着た楓が落ちてきてるんだね。もしかしてりんごの赤なのかな?)きぐるみもそうだし。でも、なんというか基本的にギャグ漫画の住人だから、なんでもありでも割と受け入れられる

 わりと唐突にぽんぽんぽんっと話が進んでいって、世界観も独特。なんだけど読者置いてけぼりな感じは無くて、現実離れしてるかと思いきや、意外にリアル感もある。

 マンガ表現というか、アニメ表現かな?に感情によって髪が逆立つというのがある。ジブリがよくやるやつ。私、これ好きでして。

 楓が清春に告白する場面で顔を真っ赤にして髪がウワッっと逆立ってるコマ。いいよねーこの絵。でも普通の人間は風もないのに髪が逆立ったりはしない。けどこの漫画の中では髪が逆立つのは別に変じゃないんだよなー。漫画世界の話だから。

 でもこういう表現を最近の漫画ではあんまり見ないような。こういうところがちょっと昔の漫画風だと思う。

 それと、学園モノの定番(?)女子のファン。これも漫画の世界のお約束というか。この作品の女子は全員ギャグ漫画の中の住人(純正)で、キャラが漫画的記号表現なんだよね。モブっていうか。でもそのモブ女子がすごくいい味だしてる。女子の中では楓は無条件に愛する存在。まさに校内のアイドル。ただのカッコつけってわかってても。

 だから女子にリアル感でると一気に作品全体に現実感がでてくるという気がした。巻末の女子3人組とかいやにリアルだよね。作中のファンクラブの女の子とはちょっと描き方が違う。

 このリアリティラインが行ったり来たりするのってやっぱりギャグマンガのノリだよなーと思う。

 というか全編ギャグ漫画のノリなんだけど、その中にあって楓の清春の恋愛だけがある種のリアルさがあって、生々しい。

 そのギャップがいいのかなー。

 絵柄もギャグ漫画にとても合う絵柄でギャグのコマも面白い。なのにBLもとても萌える。うまーーく混ざってる。

 羽生山へび子とか永井三郎とかと同じ系譜。このお二方が好きな人は多分今作も面白く読めると思う。

 でもこのリアリティラインも作品によって変わってて、意識して書いてるのか天然なのかはわからないけど、そのライン引きが絶妙。

 キャラも楓はわりと現実感無いキャラ。イケメン王子キャラで、学校にファンクラブがある。特進科に通っていて、成績優秀。家も裕福で普通にベンツで送りとかされちゃう、そして赤い制服を着ている。ここまでがギャグ(非現実)ライン。でも実はみんな王子キャラがカッコつけだってわかってて、ファンクラブも実は自分で設立していて、一見俺様っぽいのにとても純情で健気で、根っからのいい子。童貞。これが漫画におけるリアルライン。いい匂いがするっていうのはBLライン。

 清春のギャグラインは…あれかな、大根。それ以外は常にリアルラインの上にいるキャラ。ふとつぶやく方言とかリアルの極値だ。いつも方言なわけじゃなくて感情が高ぶったときとか一人になった時に話す。…いい。

 楓が気障ったらしく薔薇を差し出しても「すごく高そう…いいバラだ」とか言ってしまう。ここの温度差おもしろい。

 そしてなにより、やっぱり眼鏡なんだよなー。

 眼鏡をこういう描き方するのってあんまり見たこと無い。眼鏡のレンズの枠内で見えるものはクリアで枠外がもやっとしてるという。

 眼鏡の有り無しで楓との距離感も変わってくる。細かいけどうまいなーと思った。眼鏡が楓のと距離感の伏線のようにもなってる。

 寝ぼけててしかもよく見えなくて、おもいっきり楓の匂い嗅ぎまくって、目が覚めて眼鏡をかけてはっきり見えて我に変える。

 台風で眼鏡が吹っ飛んで(そんな馬鹿なw)後ろから覗きこんで顔を寄せて楓だってわかってびっくりする。

 どっちのシーンもすごく好き。

 清春が目を細めてる顔とかすごく可愛い。目が悪い人ってほんとに眼鏡ないと目つき悪くなんのよ。

 

 なんかこうして書いてると、楓よりも清春のキャラがいいのかもね。

 清春がギャグに走らないから作中のリアルなバランスが取れてて、ちゃんと意味のあるBLになってる。

 それに楓を清春目線で見るから、だんだん楓がものっすごいかわいい生き物になっていくんだよ。ギャグキャラじゃない、リアルな楓が見えてくるから。

 も~~もきゅもきゅしちゃうね。

 楓の好意に絆されるというよりも、だんだん清春が楓の可愛さに気がついていくという感じがいい。

「あん゛ぅゥゥ…」って呻きが可愛い。もっともきゅもきゅしてくれ。

 あと、鈍そうなボーっとしたタイプがスイッチ入ると暴走機関車みたいなのも好きだわ。大根とか楓も怖いだろ。清春のスイッチの入りどころがいまいちわからないけど。

 その、エロシーンもなんかすごいエロいんだよな。

 手に色気がある。

 そしてエッチシーンで岡山弁になる清春。岡山弁とかさっぱりである。

「やっちもねえ自己申告せられな」がわからなかったのでググった。

 やっちもねえ=くだらない、しょうもない。せられな=するな、ということらしい。

 んで、致したあとちゃんと楓の差し出した傘を受け取る清春。裏返って開いたまんまだし。とてもシュール。でも初めて楓の差し出したものをちゃんと受け取った清春。ちょっと受け取るまでに興奮しすぎたけど。

 最後、大根収穫するときに怖がってか照れてか近寄らない楓を「大丈夫だからこわいことないから、楓~~」って名前で呼ぶ清春と、何かを察した太眉もんきっき。

 もんきっき(名前わからん)に頭はたかれる清春

 このもんきっきにどつかれての終わりがなんかツボ。お前何しやがったんだという無言の圧力がなんか笑えるし、可愛いし、萌えるしで。

 

 あとたまに挟まるギャグのコマも面白くて。

 園芸部の部Tシャツがスーパーマンのパクリだったり、

 謎の果物のきぐるみ着て、ソーラン節とスリラー踊ったり、

 Twitterをもじったホザイタ―とか(後ろで楓の写真をホザイタ―に投稿した女子が何が「うちのカレピッピ♡」だー!って他の女子に怒られてるのもw)

 カリオストロの城のパロディでネギトロトロの城にロパン3.5世とか(有名な手から花を出すシーンも。ついでに楓の夢の中では清春クラリスのコスプレしてる)

 こういう小ネタが面白かった。

 

 コミックス売れたら続編も描いてくれるだろうか。すごく続き読みたい。

 

 ってかここまでだけでこんなに長くなってしまった(^_^;)やっぱり表題作が一番ツボったんで。

 

 以降短め感想。

・「未痴との遭遇」

 他人の心が読めるという力を持つ主人公の吉田と吉田を慕う後輩の斑目。吉田は赤裸々に見えてしまう後輩のエロ妄想に(自分がめちゃめちゃに抱かれている)ちょっと引き気味。

 この斑目くんが生真面目そうな顔して頭の中エロイことしかないのが、可愛い。

 高校時代手芸部で吉田からテディベアをもらってそれ以来吉田のことが好きだという。斑目くんも羊毛フェルトで手芸をやってる。髪の毛ツンツン、三白眼で革ジャンとか着てるようなロックな斑目くんが。羊毛フェルト

 斑目くんはまっすぐに吉田のことが好きで、手芸も吉田の真似して始めたんだろう。エロ妄想も真っ直ぐすぎるが故だ。

 この話も一見ギャグのようで、実は結構吉田の過去が暗かったりする。人の心が読めてもいいことはない。

 でも斑目のまっすぐな感情はわかりすぎるくらいにわかってしまう。それに絆されていく吉田。

 たのしい思い出がたくさんできるとおもいます(^^)

 

・「彼女なのに男」

 タイトル通りの話である。オカマバーで働く女装ゲイ(ニューハーフじゃない)と彼と付き合うことになった普通のノンケの男の話。

 R18の雑誌に掲載されたものなのでほぼエロがメイン。

 エロメインなので注目すべきはずばり、エロシーン。その中でもさらに目が行くのがコンドーム。ゴムの描写がいやにリアルだ。こんなにちゃんとコンドーム描いてるBLってあんまり見たこと無いぞ。

 女装ゲイの晃(晃子?)がカツラを取っちゃってベッド脇にカツラを投げ捨てるシーン。そのコマでベッド下の収納が引かれてて、繋がってるゴムが無造作に落ちてるのが描き込まれてる。このリアリティ。ベッドの下の収納にゴムが箱ごと置かれてて、しまう余裕もなくエッチしてるんだな―って。

 ストーリーやキャラでいうと他の話よりはちょっと弱いかな。でもどっちも健気で可愛らしかった。

 

・「オレは人気者」

 下衆BLに載った作品。本当…下衆。こういうの好き…。 威張ってるいじめっ子が陥落する話って無条件に好き。

 

 扉絵がなんか暗示的で目を引く。

 場所は学校のトイレ。手前にはトイレには不似合いな大きなゴミ箱。ゴミ箱にはゴミが溢れるほどに詰まっている。手洗いの上のそれぞれ鏡に写った今回の主人公たち。手前に洋介、奥に五郎。でも鏡の前に人はいない。並んだ2つの手洗いの奥の方は水が溢れて滴っている。下には滴る水を受け止めるバケツ。そしてトイレの個室のひとつが閉まっていて、上にズボンが引っ掛けられてる。

 すごい背徳的というか、薄暗い絵だ。

 序盤、ゴローがいじめっこよろしく洋介をネチネチいびる。これがやり方がいやらしい。周りに洋介の過去の恥ずかしい話をして(後に別人だとわかるんだけど)更に嘘ついて、こういう奴だってあることないこと吹き込んで孤立させようとする。でも洋介は結構「良い奴」だから周りはフォローしてあげる。クラスにも学校にも自然と馴染む洋介。それがゴローは気に食わない。

 けれど高校生にもなってゴローがやるような子供っぽいイジメは流行らない。逆にゴローがクラスや学校で浮いていく。洋介の前でも他の人の前でもキャラを取り繕えなくなっていく。

 ゴローはまあ下衆なんだけど、なんというか小学生のガキ大将が成長せずに高校生になってしまったようなキャラだ。だから根は単純。そしてマザコン。お母さん好き。

 本当の下衆は洋介の方だ。

「実は僕、いじめっ子ってだぁい好き♥なの」と無邪気な顔で暴露する洋介。

 入学初日に、意地悪い顔しているゴローにすでに目をつけていた。そうしたらゴローが勝手に洋介のことを幼なじみと勘違いしてきて構いだした。(同姓同名とか偶然過ぎないか、と思うがそこはスルー)

 洋介みたいなニコニコしててみんなに好かれて、無邪気で害がなさそうな奴がすごい鬼畜っていいよね。いかにも鬼畜ですみたいな俺様キャラよりもよほど鬼畜感でてる。

 洋介がゴローにネタばらしするときに、直前に「俺が登校中ずっと噛んでたガムだよ。味わえよ」って口にガムを放り込まれるんだけど、ゴローに問い詰められて泣きそうな顔してた洋介が、いきなり表情を変えて平然とした顔してガムをもぐもぐ噛みだす。ガムを吐き出すでもなくもぐもぐしちゃう洋介。なんでもない顔してるのが、逆に怖い。

 いじめられっ子がいじめっ子に仕返しするとか、そういう話もあるけど、洋介はそうじゃない。ゴローにされたことなんて本当になんとも思ってない。洋介はただ、威張ってるいじめっ子をやり込める(性的に)のが好きなのだ。

 こわいよー。

 でもこういうキャラ好きなんだよなー。

 全部暴露した洋介はゴローを……やってしまったんだろうか。あれだと多分そうだよね。

 これ続編あるみたいで読むの楽しみ。

 

 あとカバー裏が大変美味しかった。

 

 電子版の描きおろしは、楓と清春で白雪姫のギャグパロディ2P。

 女王様楓、鏡楓、狩人楓、バラ楓、小人楓、ミミズ楓、王子様楓、馬楓、と姫清春。楓何役やるんだ。

 

 個人的に久々の作家の当たりだったんでこれから追っかけようと思ってる。

 同人で元々描いてた方たちみたいだけど、このまま商業BLには染まらずに独自路線突っ走って欲しい。今後もどうか普通にはならないでくれと願う。

 

りんご、木から落ちる (シトロンコミックス)